正直に話すのが筋だと思ってた。
嘘をついて隠そうとするなんてもってのほかだと。
大切な相手だからこそ真実を話すべきだと。

…けれど、落ち着いて考えればもっと別の方法があったのかもしれない。

彼女を傷付けることは避けられなくても、最悪の事態を避ける方法ならあったのかも知れない。

ずっと知りたかった彼女の進学先がやっと分かったのに、俺の心は今までよりももっと深い後悔や自己嫌悪の霧に包まれていて。

……それでもなお、彼女が同じ都内にいることに心の何処かでホッとしている俺は、男としてどれだけ最低なんだろう。

「……須藤、ごめん…」

声にならないほど弱りきった俺の心の叫びは。

鳴り響くチャイムの音に掻き消されて、冷たい廊下へと頼りなく零れ落ちた。