ありふれた恋でいいから

「俺…やばい。須藤、何か別のこと考えてよ、」

耳元にかかる熱い吐息にゾクリと感じながらも。

いくら人気が無いといったって、さすがにこんな場所では恥ずかしい気持ちの方が勝る。

「えっと…御守りでも、買う?」

高まった熱を抑えるように暫くギュッと抱き合って、彼の腕の中でそう呟くと。

「…絵馬も書こっか」

深く息を吐き、本来のペースを取り戻したらしい畑野くんがクスリと苦笑いするのが分かった。




「“二人で同じ大学に合格出来ますように”…よし。これでいいかな?」

白木で出来た五角形の絵馬に、合格祈願の願い事を書いて、より高い所の方が願いが叶いそうなんて言いながら、2人で括りつける。