けれど全てが分かった今。
私の願いはひとつだけ。
この願いが向かう先はただ一人。

私の足は自然とある場所へと向かい、願いを込めてそれに刻む。

湧き上がる想いを祈りにかえると、静かに神社を後にした。

帰り道、鳥居の入り口ですれ違った高校生らしきカップルは、手を繋ぎ寄り添いながら楽しそうに境内に向かって歩いていく。

まるであの頃の自分たちを見たようで、胸の奥をどこか懐かしい風が駆け抜けた。






―――ねえ、畑野くん。


もし。
もしも、ミキちゃんの嘘がなかったら。
私たちは今でも一緒にいられましたか。


こんなに長く離れていたのに。
私には、あなたの優しさが痛いほど伝わってくるよ。

あなたの強さが、私の想いに力を与えてくれる。

だから。


だから私も、この気持ちを伝えたい―――。