責められるよりも、許される方が辛いことだってあるのかもしれない。

いっそ許せないと詰られ続ける方が、どんなに自分を楽に追い詰められるだろうか。

「…でもね。そう思えるようになった分、私は疑うことも妥協することも覚えたの。……畑野くんを真っ直ぐに信じられた昔の私は、もういない」


「須藤…」


咄嗟に彼女の名前を口にした俺は、その後に何を続けようとしたのだろう。

あの日のことを否定したかったのか、それとも自嘲する彼女を止めたかったのか。

どちらにしろ、ただ、そう呼ばずにはいられなくて。

「ずっと後悔させてごめんね。でももう自分を責めないで。私のことは、私とのことは……もう、忘れていいから」


「………」