ありふれた恋でいいから

「…俺がどれだけ須藤を傷付けて苦しめたか、分かってる」

畑野くんの真剣な眼差しと伝わる温かさに、胸の奥が警鐘を鳴らす。

「進路を変えたのも俺のせいだって分かってる。でも、」

これ以上、聞いちゃいけないって。

「でも俺、やっぱり須藤のことが……」

彼が言葉を溜めた隙に。

「――…私、私ね」

遮った私は淀まずそのまま続けた。



「結婚、するの」




言葉を選んでいる余裕は無かった。

どの言葉が一番適しているかなんて考えられなかった。

聞きたくない訳じゃない。
知りたくない訳でもない。
出来ることならその先を聞きたいけど。
畑野くんの気持ちを知りたいけど。


……もう、遅いんだ。