もしも、また貴方に会えたなら。

一番乗りで教室に入って、息を整えてからアルモノを探してみる。

何処を探しても、無かった。最後の希望。

あるわけないか…なんて。

花瓶を探してたんだ。この子を生かす、最後の手段だったのに。

私は大きな大きなため息をついて席に座った。

席と言っても決まっていないから知らない人の席だけどね。

しばらく、15分くらいボーッとしてみる。

少しずつ、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。お家に帰ってから花瓶にいけよう。

「そこ、俺の席なんだけど。」

急にかけられた言葉にビクッと肩を揺らしてしまった。

ふと気づくと周りはザワザワしていて、皆が居る事がわかった。

私、気づかなかったよかな?鈍いな…。

「ごめんなさい…」

「…別に?」

だいぶ背が高いのか私の目線からは胸下ま
でしか見えなかった。

顔を見ようと目線を上の方に上げる。私チビだからこうしないと顔が…みえな…

「あ、おまっ!!」

「え…?」

誰だ、コイツ。誰なんだよ、一体。

「分からねぇのか!?ほら…クソっ!お前が11…小5くらいの頃!居たろ?俺!」

え、誰?

分からない。ごめんなさい、分からないで
す。誰ですか!?なんて聞けないし…

「スイマセン…記憶にないです。」

「ハアァァァ!?」

うぎゃっ。

そんなに大きな声出さないでよ!鼓膜が破ける…じゃなくて、皆のちゅうもくの的になってるから…。

「そろそろ怒るぞ…分かってるんだろ!?」

分かんないです。

そろそろって…誰なの?一体。

あ、わかった。人間違いだ、ぜーったい!わかんないもん。

「俺だよ!清水誠だよ!本当に分かんねぇの?」

清水、誠。

そんな名前の人が居たような…居ないような…。あ。

「清水…誠…誠!?」

「あー!よかった!分かったかー!」

清水誠。私の幼馴染み。唯一、心の頼りどころにしていた大切な人。

思い出した。

「なんで此処に居るの!?」
「全ての高校に落ちて…滑り止めのここ
に…」

え、ここって学力高いって有名なのに…!滑り止めって…。

その瞬間、私の中に嫌な記憶が流れ込んだ。

*********!?

*****?

*************!!!!!

「……っ!」

なんでこうなのだろう。

こんな時に限って''あの''記憶が。

「…なんだよ。」

ふてぶてしい、面倒くさいといった感じで私を見下ろす。

いやぁ、大きくなったね。

最後に見た時には同じくらいの背丈だったのに。

大きな背中に、大きな手。

長くなった髪に、声変わりした低い声。

何もかもが違っている。

「んー。」

「っ。お前…さ、」

「…え?あ!ちょっ、ちょと!」

「あ?」

誠が私の髪の毛をほどく。そしてグシャグシャと撫でくり回す。

「や、ちょっ!やめてよぉw」

「っ、だから!!」

「えっ?」

だからよぉ…と、誠が頭をかく。

言いづらかったり、自信がない時の癖だ。

「その顔…」

「なっ!ブサイクだって言いたいの!?」

私はガタッと席を立つ。

周りの目線が白い。お助け。

「………////」

はっ、と気づくと周りは静か。

わたし達だけが騒いでいたらしい。

「あー、注目!」

誠が大声を上げる。廊下にいた生徒までが振り向いた。

「コイツ、さ…」

「あたしが何。」

「俺の女だから、とるなよ?」

………………。

は?

周りがざわめく。

何言ってるんだよコイツ。

朝から変なの。みんながみんな。なんか変。

「…ってか、何よ!俺の女って!?」

「は?まさか忘れてるのか?」

「何を!?」

焦って動揺して怒って、喜怒哀楽を凄い勢いで繰り返す私。

そんな私を呆れてものも言えない、と言った感じでみる誠。

「あのさ、」

急にコソコソ言ってくる。

「その顔、」

「ブサイクで悪かったね…」

「あのな!」

話聞けよ!と小声から大声になるもんだから鼓膜が…。

「うあっ!鼓膜が…キーンってなる!」

むすー、と誠を睨んでみる。

そして、睨んだのに顔がトマト状態になる誠。

…何!?

「だかr「ホームルーム始めるぞ!」

「「………」」

先生、入ってきた。席つかなきゃ。

私が立ち上がると誠が1つ、舌打ち。

「……えっ」

「おい、夏之!席つけ!!」

「すっ、すみませ!!」

周りからくすくす、笑い声が聞こえる。

「はぁ…」

私は1つ、溜息をついて席に座る。

「俺は担任の魔裂。魔裂サツヤだ。」

うわあぉ、なんとも怖いお名前。

魔法の魔に炸裂の裂か。まれつ?

なんか聞いたことが……。

「……から、入学式だ!廊下に並べ!!」

話聞いてなかった。ごめんなさい。

私は気だるく席を立って体育館に足を運んだ。