「あ!飛行機雲!」 屋上に出て、空を見上げた近藤くんは、子どもみたいに声をあげる。 それにつられて、あたしも空を見上げた。 「ほんとだ...」 ずっと下を向いて歩いてきたあたしは、空を見上げる事さえ忘れていた。 久しぶりに見上げた空はとてもきれいだった。 ...あたしも、あの飛行機みたいに前に進めたらいいのにな。 近藤くんの近くで、そんなつまらない事を考えた。