さかのぼる事、数時間前。 あたし、佐藤彩乃は高校2年生になって初めての行事、社会見学で大阪へ来ていた。 「このハンカチかわいいっ」 「えー、こっちのがかわいいよ」 楽しそうな班員を横目で見つめる。 昔は素直で誰とでも仲良くできたのに。 あたしは“あの日”からうまく人を信じれなくなっていた。