陽だまりの天使


「倉持先生には固定のパトロンが何人かいますので、今のところは安泰ですね。こうなったのは雄大のおかげなんだ。僕にはうまく営業ができないけれど、雄大にかかると、先生の作品がさらに魅力的に思えてくる」

小説やドラマでしか聞かないパトロンなんて言葉があまりにも当たり前に飛び出して、芸術の世界独特の当たり前は一般人の当たり前とは少し違うのかもしれない。

だからこそ、自分と坂木さんの生きている華やかな世界との違いを感じてしまって舞い上がっていた気持ちを引きづり落とされた気がする。

さっきから坂木さんを好ましく思う気持ちを、諦めろと警鐘を鳴らすことばかり。

私と坂木さんの繋がりは、坂木さんの手に預けられたネックレスだけ。

足元のキャンパスに淡い黄色の線が幾重にも描かれているのに坂木さんが目を落とすので、一緒に眺める。

坂木さんはどういった想いで倉持先生の未完成作品を見ているだろうか。

未完成の作品でも先生独自の世界観は現れていて、完成した姿を期待させる。

ネックレスをきっかけにした絵画が一体どう描かれるのかが、楽しみであり、怖くもある。

絵画が完成していくことが、私と坂木さんの繋がりを断ち切っていきそうで。