「倉持先生、この間高野さんのネックレスをお借りしたでしょう。借りたものは返さなきゃいけないんですから。相手を覚えるのは当たり前以前の話なんですけど」
倉持先生の落としたくずを拾いながら坂木さんは生徒を指導する先生のような口調で倉持先生を諭す。
もはやどっちが先生なんだかわからない。
「んー。どっちかの新しい彼女?」
全く興味を持たなければ、反省する様子もない倉持先生に悪びれることなく言われて、大きく振りかぶる。
「違います、そういうんじゃ・・・」
「まあまあ、佳苗ちゃん。俺はいいよ。好みではないけど、許容範囲内」
土谷さんは手を伸ばしてきたが、私の肩に触れる前に坂木さんが腕を叩き落とす。
「雄大、いい加減にしろ」
「はいはい、ごめんなさーい」
先生の言葉に悪乗りする土谷さんが離れると、坂木さんがすかさず私と土谷さんの間に入る。

