陽だまりの天使

「坂木さん、ありがとうございました。とてもいい経験ができて、施設の方たちのお土産話にさせてもらいますね」

子供がモデルの作品がギャラリーの一番奥の作品だったので坂木さんにお礼を述べると、坂木さんは口元に笑みを残したまま、少し俯く。

「仕事柄、作品の説明はできても、作品への好き嫌いはどうしても感覚的なものだから、そう言ってもらえると嬉しいな」

万人に受け入れられるなんてことは芸術だけじゃなく、どんな世界においても至難の業だ。

利用者さんとスタッフ、利用者同士でも相性がある。

作品をより良くすることや、どうしたら人に受け入れてもらえるかなんて助言はできない。

うまく慰める言葉も思いつかなかったけれど、少しでも坂木さんの気持ちがすくいあげられたらと思いながら、今の気持ちを伝える。

「倉持先生の作品、見るまで全然想像もできませんでしたけど、とっても素敵で私は好きでした」

少しは伝わったようで、坂木さんの笑顔に輝きが戻ってくる。

「よかった。僕も好きなんです」

真っ直ぐに見つめられながらそんな風に言われると、心の中で何度も『倉持先生の作品が』という主語を補足しても、照れくさくてもじもじと身体の前に組んでいた手に視線を落とす。

そっと視線を上げると笑顔の坂木さんと目が合い、どことなく甘い空気が横たわる。

そこに、背後から荒々しい足音が近づいてくる。

振り返ろうとしたら、筋肉質の腕が肩に回されてつんのめる。