居酒屋では食べていなかったので坂木さんが物を食べているところを見るのは初めてだけれど、介護職のガタイのいい男の先輩よりも食べるのは早いかもしれない。
「もしかして苦手ものあった?」
「あ、いえ、食べっぷりがよかったので見てしまいました」
手も口も止まっている私を見て、坂木さんに声を掛けられて、慌ててサンドイッチを口に運ぶ。
「あ、おいしい」
ふわふわのオムレツにほんのりチーズの味が混ざっていて、優しい味が癖になりそう。
あっという間に平らげてしまう気持ちもわかる。
「よかった。食べるのが早いか。僕もお腹空いてたし、お昼の時間も取れないくらいひっきりなしに人が来る日もあるから、つい早く食べる習慣が着いちゃったかな。今日はギャラリーを閉めたから、お客様も来ないし、高野さんはゆっくり食べて」
そうは言われても、一人だけ食べているのも申し訳なくて、食べるペースを早める。
すると、食べ終わったと思った坂木さんはもう一つサンドイッチを自分の前に引き寄せるだけでなく、コンビニのビニール袋からオニギリを取り出して食べ始める。
すらっとして見えるがよく食べるようで、見ていて気持ちがいいくらいのスピードで食べ物が坂木さんのお腹に消えて行く。

