陽だまりの天使


土谷さんの顔から営業用の笑顔が剥がれて、眉間に皺を寄せた険しい顔でこちらに向かってこようとする土谷さんの肩に坂木さんがポンと手を置く。

「お疲れ、雄大。悪かったよ、ごめん。代わりに対応してくれて助かったよ。そんなに怒らないで、高野さんが怖がってるじゃないか」

「ほんっとだよ!藤堂様は半分真理目当てなのに帰ってきたら真理はいねーわ、順子さんが初期対応してる時点で藤堂様はすでに静かに怒ってるわ、コーヒーはねーは、帰ってきたと思ったら真理は女連れだわ。いいこと何にもねーじゃねーか!」

土谷さんの怒りの矛先は最終的に私に向くが、他にもたくさん思うところはあるらしい。

「うん、ごめんって。コーヒーは買ってきたから飲んで。食べるものもあるから、お腹が落ち着いたら、気分も落ち着くよ」

坂木さんは柳のように土谷さんの吐き出すエネルギーをするりといなす。

そして、なぜかギャラリーのドアにかかるopenの札を裏返しにしたまま坂木さんはスタッフルームに姿を消す。

お客さんとして来たはずなのに、クローズしたギャラリーの中にいていいのかわからないまま戸惑っていると、土谷さん友好的とは言えない冷ややかな空気を纏って近づいてくる。