「ああ、でもギャラリースタッフって僕と雄大くらいなんだ。コレは倉持先生と今日は順子さん、先生のお弟子さんって立場の人なんだけど、その人の分。佳苗さんも折角だから一緒に食べよう。お昼まだでしょう?」
「私もですか?」
頭数に入っていた自分の名前に驚いて坂木さんを見上げるが、坂木さんには少しも疑問に思わない様子。
「うん、みんなで食べたほうが楽しいでしょ。コーヒーのついでに頼んじゃったから、一緒に食べよう」
当然のように誘ってくれる坂木さんの気持ちはありがたいが、真帆や直美から聞いた土谷さんのことを思うとなんだか嫌な予感しかしない。
ましてや、土谷さんが坂木さんと一緒のテーブルに着くことすら阻んでくる可能性だってある。
怒られるイメージしかないまま坂木さんの後ろをついて歩いていくと、一面ガラス張りの店構えの前で坂木さんが立ち止まる。
大きな看板もなく、入り口のガラス戸に小さく『Gallery Sakaki』と表示されているだけで、坂木さんの言うとおり、初めての人にはわかりづらく、一人だったら素通りしていたかもしれない。
すりガラスのような加工をされていて、外から中の様子ははっきり見えない。

