陽だまりの天使


「好みがわからなかったから適当に頼んじゃったけど、コーヒー大丈夫かな。砂糖とミルクは?」

気を使って世話を焼いてくれる坂木さんに感謝して、ミルクも砂糖もたっぷり入れたコーヒーに手を伸ばすが、カップに触れると冷え切った手には痛いくらい。

何度もカップに手を触れたり離したりして両手でカップを握ることが出来るまで時間がかかってしまう。

折角いただいたコーヒーなのだから、まずは一口いただかなければ、と気持ちばかりが焦る。

ようやくカップを口に運ぶと喉から胃に向かって温かいカフェオレに近い液体が流れていくのがわかり、空っぽの胃にが優しく染み渡る。

人心地つくと、くつろいだ感じで肩肘を突いて私の方を楽しそうに見ている坂木さんと目が合って、予定外の二人きりを思い出して背筋を伸ばす。

すっかり一人でリラックスしてしまっていた。

「ご、ごめんなさい。落ち着きました」

「顔色もよくなったね。身体が温まったかな。会うのを楽しみにしていたけど、こんな形で会うとは思わなかったからびっくりしたよ。今度は暖かいところで待っててね」

あっさり嬉しくなる言葉を言われると、あと半日ほどで途切れてしまいそうな関係だと言い聞かせて期待しないようにしているのに、その先を感じさせる坂木さんの優しさが切なく胸を締め付ける。

それでも、もし坂木さんと待ち合わせをするなら、という妄想はしてみるのは楽しい。