「おいしょ……お、おもっ」

「かんざし付けたお姉さん、そんなこと言わないの……ごめんなさいねぇ」

「あ、すいません」

あはは……口に出ちゃった……。
今、麻衣は明らかに重そうな荷物を持って、階段の上で私たちを待っている。
私はおばあさんを押して登らせてあげている。

登校中の私たちにとっては、かなりの時間ロスだけど、今日はいつもよりも早い電車に乗ったから大丈夫。

それと、少し気になったけど、私が髪を留めているのはかんざしではなく、ピン留め。かんざしとか大人びたものは使えないんだよね……。

「……よいしょっと……。よし、麻衣、タッチ」

私が手を出したら、麻衣がパチンと手を合わせてくれた。
それを見ていたおばあさんが、仲が良いんだねぇ、と言ったので、昔からの幼馴染なんです、と答えた。

「あ、お礼に……と言っても何もないんだけどねぇ……あ、これを預かってほしいんですが……」

「ん? 預かる? 何をですか?」

「鍵だよ。孫が大事にしていた鍵なんだけど……優しそうなあなたたちなら預けても良さそうだし……いいかねぇ?」

鞄から、ポーチを取り出して、そこから鍵を出してきた。
孫が持っているのをなんで私たちに預けるの?

その必要はないと思うんだけど。