杏菜が目を覚ました。

額には沢山の汗をかいているように見える。

「杏菜、大丈夫か?」

そういって俺は杏菜のおでこに手を当てて熱を測ろうとする。

「イヤッ――!!!」

えっ?

俺は今、杏菜に拒絶された…?

「さわ…らないで…くだ…さ…い…。」

震える声で杏菜は俺にそう言った。

何故か敬語で俺にびびっている。

杏菜はまるで俺を知らない人と話すような態度で話している。

「杏菜?稜太くん、倒れた杏菜を心配してくれて保健室まで運んでくれたんだよ?」

水橋が杏菜に話しかける。

水橋の話も聞いていないように思える。

さっきから今の状況がよくわからないのかキョロキョロ辺りを見渡しているからだ。