神様の藥箋






ちょっと待て、そうしたら色々と話が矛盾している。





「じゃあ…。つまり、エレナはラルフと恋仲では、ない?」









「え、ええ。」







若干戸惑いつつも、きっぱり首を縦に振るエレナに少し安堵する。



それと同時に、ラルフにまんまと騙されたと言うことが理解できて、こめかみのあたりの神経が、ぷちりと切れた気がした。






あいつ…どうしてこんなしょうもない嘘を…。













「では、共にアストリアに行くという話はどういう事なんだ。」








それは一番、ジルをもやもやとさせていた話の核心であった。




二人が恋仲でなかったと、エレナが今も自分を好いてくれているとわかった今、なぜ二度と戻れないという所に行くなどという話が出たのか。





…まさか、それさえもホラなのか…?







明かされる真相に妙に焦りを感じ、冷や汗が背中を垂れていく。







「いいえ、アストリアには本当に行きますよ。明日の早朝に。なにしろ、喀血に有効な新種の菌類が見つかったらしいので、お仕事であちらに詳しいラルフさんに案内をしていただく事になっています。



すみません…詳しくお話する機会を、ついぞ逃してしまい前日まで迫ってしました。



…距離があるので、帰りは2週間後になるとラルフさんはおっしゃっておりましたが。」








「な…そんな短期間でこちらと行き来出来るものなのか!?」







アストリアと、我が国スクロッカの小競り合いは日に日に暴徒化していて、治安は悪化していると聞く。





ラルクだって、だから戻れないと今生の別れを惜しんだのではないか。