「先生はそうやっていつも…」
また、失望させるような事を言ってしまったかと焦っていたが、彼女から発せられたのはどこかすねたような声音だった。
「一番、大切なことをおっしゃらない。いつだって自己完結されてしまわれる。
そばにいる私としては、相談されないということはとても悲しい事なのですよ。
どうして、いつもそうして言葉足らずなのです?
そんなようですからいつまで経っても独り身なのです。」
なんで、十も年下の少女にこんな事を言われなければならないんだ。
ちょっとむっとしてエレナを見下ろすと、彼女はぷっと吹き出した。
「私の告白を、ぞんざいにした仕返しです。お許しください。」
そういって、あははっと肩を揺らして笑った。
エレナのそんな笑顔を初めて見たので、ジルはちょっと驚いた。
自分ほどではないが、エレナもあまり表情や感情を顕にしない娘であったから、そんな風に破顔している様はどこか新鮮で。
そうして笑っていると年相応の無邪気な女の子に見えた。

