ふいに投下された発言に、ジルはとっさに反応出来ず固まってしまった。
幼い頃から勉学に励み、大人になってからもなお、医術と研究に没頭してきたジルは、男女の馴れ合いには疎い。
…そのせいで、エレナの気持ちも汲み取れなかったわけなのだが。
そんな色恋初心者のジルにとって、ましてや情事の話など別次元の世界であって、いきなり投げつけられた初夜という単語など、意味はわかっても理解ができない。
まさに、目を点にして疑問ばかり浮かべているジルに、ラルフはその反応を見逃すまいと、じっと彼を見つめる。
「今、その『蜜月三夜』が王都で密かに流行ってるんだよ。
女にとっちゃ、便乗するだけで王室気分が味わえるようだし、男にとってはこんなに美味しい話はねぇだろ。
しかも新婚初夜とありゃーそりゃあ…盛り上がるだろうな。
もちろん、俺だって例外じゃねぇぜ?」

