神様の藥箋






夜の帳が降り始めた空は濃紺で、沈みかけた太陽が最後の輝きとばかりに、地平線のぎりぎりで濃厚な黄金の光を放っている。



艶やかで、滑らかな帯状の輝きが光線のように、厩に差し込んでくる。


まばゆいばかりの、透き通った光は、ジルの橙の髪さえもますます鮮やかに照らし出した。








「……………。




………………………アストリア王室に伝わる『蜜月三夜』って言葉を知っているか?」







随分、長い沈黙のあとに、ラルフはうわ言を連ねるような口調で囁いた。



ジルはその言葉を知らなかったが、ラルフはそれについて返答を求めてはいなかったようで、返事を聞くことなく、言葉を続けた。








「アストリア王室では、代々、婚姻の儀の夜は三日に渡って続くと言われる。」




いきなり、話題がアストリア王室の婚姻まで飛んだので、わけがわからない。


ジルはラルフの意図を測りかねて彼を見上げた。







「婚姻の儀から数えて、三日間、夫婦は寝所を共にしたまま出てはならない。


一歩もだ。


生活するに事足りる設備は全て寝所に完備してあるからな。




三日間、必要な物資は決められた場所に起き、決して誰も、国王夫妻の寝室に足を踏み入れてはいけねぇんだ。


















もったいぶっちまったけど…、









まあ、要するに三日間、まるごと初夜ってことだな。」