神様の藥箋







エレナから告白されたこと。





それについて、はっきり返事を返さなかったこと。





家柄も家族も全て捨て、ジルの元に来たこと。




そして…、軽はずみな発言で彼女を傷つけたこと。






包み隠さず、全てラルフに話した。












けれど、彼はさして驚いたふうもなく、ふたつの淡い緋色の瞳は、ただひたすらにジルを見下ろしていた。



微かに眉を上げて口元を歪めている。





何か腹にイチモツ抱えていそうな、何かを堪えているような複雑な表情をしていた。










「なあ?さっきから既成事実ばっか連ねてっけどよ、お前には感情ってモンがねーのかよ。」





「………………は?」




ジルは訝しげに黒い目を細めた。

それを見て、やれやれというふうにラルフはため息をついた。





「大事なのはありのままの現実じゃなくて、心だろ。



お前は結局どうしたいんだよ?」






問われて、ジルは長めの前髪を揺らして、瞳を覆うように隠した。







「どうって…どうしようもないだろう。」







「エレナを連れてっちまうぞ。二度と会えないかもしんないんだぞ「ちょっと待て、おかしいだろう?」






自分の口下手加減を呪った。胸の奥に詰まった言葉をどう声にしていいかわからない。


イライラして、表現ができない感情がもどかしくてジルは短く息を吐き、激しく首を振った。