「なんだあ?子犬みたいに付いてきてよ。」
後ろを振り返ったラルフが、箒一本分くらいの間隔をあけて後ろを歩いてくるジルを見て破顔した。
子犬は余計だと思いつつ、ラルフに習って厩の柵をくぐり抜けた。
「こうしてお前に軽口ふっかけられんのも最後なんだよなぁ。」
「そうだな。」
感慨深そうにそう呟くラルフから視線を逸らし、ジルは相槌をうった。
「もっと寂しいとか怖いとか思うかもな、とか……もっと迷って気を病んだりすっかなって思ってたんだけどよー…意外とそうでもねぇな。」
ラルフは馬の胴をやや手荒く撫でながら、声高らかにからからと笑った。
「どこにいようとも、お前はお前だろう。
今までどおり、胸を張っていけばいい。」
大柄な友をちらりと見上げてそう言うと、彼はくいっと眉を上げてみせた。
「………そうだな。」

