神様の藥箋




「エレナー!!ぶどう酒をくれぇー!」




清涼な空気で満たされる早朝。




一日の中で最も静けさを保っているはずの時間帯だったが、その静寂をがめつい声がぶち壊した。





「ラルフさん。



朝からお酒はよくありませんよ。」





エレナがレモン汁を垂らしたキンキンに冷たい水を彼の前に置きながら、ゆるりとたしなめた。






「俺の住んでるとこじゃ、朝だろうが夜だろうがかんけぇねーんだよ!



ちょっとくらいいいじゃねぇかーっ!」




「ラルフさんのちょっとは、ちょっとではないので、だめです!」






「ケチィィ!!」




エレナは、椅子をミシミシ言わせながら駄々をこねるラルフを真顔で受け流しながら、前掛けを身に付けた。





「まあ、でもなあ~、こうビシッと健康管理をしてくれるエレナはいい嫁になるよ。」





「な……!」






ボンッと顔を真っ赤に染めたエレナ。


ぐふっと水を吹くジル。






ひとり呑気に笑うラルフ。





そんなやり取りが繰り返され、数日経った頃。




とうとう、ジルの堪忍袋の緒が切れた。