神様の藥箋






鮮やかな髪を見つめながら、エレナが呟くと大男は感心した風に目を丸くした。




「おー!よく知ってんなあ!アストリア王に嫁いできた王女さんの母国だよ!」






「…アストリアなどと、大声で口にするな。」





背にふと温もりを感じて振り返ると、不機嫌そうに髪を掻きあげるジルがいて、大男をじろりと睨んだ。





「ちょっと小競り合いを起こしてるくらいだろ。固いこというなよ!気にしすぎだ!」



「お前は気にしなさすぎだ。」





…と、言い合いをしつつも二人はがっしりとお互いの体に手を回して抱き合った。



大男が大きすぎて親子の抱擁に見えてしまって、エレナは思わず吹き出しそうになるのを堪えた。




「久しぶりだな。元気そうで、なによりだ。」



「ジルこそ、こんな山奥でとっくに世捨て人になってるか、野垂れ死んでいるかと思ったら…」




大男は言葉を切って、静かに二人の後ろに控えているエレナを振り返った。




「神の手なぞと呼ばれる名医になって、こんなべっぴんさんの奥さんをもらっちまってんだからなぁ!」