「お前って相変わらず、豆のスープが好きだよな。」
「俺はエレナの作る料理はなんでも好きだが。」
近距離に迫った顔と、恰幅の良い腹を両手で押しのけながら、離れろと言った。
自分ではただ、本当の事を言っただけだったのに、それを聞いてラルフはびっくりしたように目をまんまるくした。
「お前、そんなキザな事を言う奴だったっけ?
もっとなんだ…自分の事以外に無関心つーか、冷たいっつーか、冷めてたよな?」
ラルフは眉を寄せて、珍しいものでも見るかのように小柄な友を眺め回した。
「そんなことはない。」
…と思う。あくまで自分はそんなつもりはなかったから。
「ああ、エレナに対しても、割と素っ気ない態度だった。」
それは、当たっていると思う。
あの頃の自分は、なるべく程よい距離を置くように努めていたのだ。

