「お前と関わると、心労が絶えない。」
「いつ、俺がジルに心労を与えたよ?」
どっかりと椅子に腰をおろしたラルフは、エレナの差し出した湯呑の水を一気に飲み干した。
「いつだってだ。」
精一杯の対抗をこめてラルフを睨むけれど、彼は呑気に水のおかわりをエレナに要求していた。
「いきなりの訪問でしたので、何もありませんけれど。
昨日作った豆のスープがありますよ。召し上がりませんか?」
湯呑を差し出しながら、エレナが尋ねるとラルフは嬉しそうににかっと笑った。
「おー!本当か?手料理なんて久しぶりだな、ぜひいただこう!!」
「はい、今温めますね。」
エレナはさっき外したエプロンを再び身につけた。
台所を動き回る華奢な背中を眺めながら、ラルフは再びだらしなく、口元を緩めてジルの肩に腕を回し、耳元で囁いた。

