神様の藥箋



「近所迷惑だろう。声を鎮めるということを、いい加減学習しないか。」



読みかけの本に栞を挟んで、ぱたんと閉じると、ジルは目の前の大男をじろりと見上げた。




「まーた、そんなちっせぇこと言ってっと、エレナに逃げられちまうぜ?」




ケタケタあっけらかんと笑っているが、この男に限ってこんな事を言われると、かちんと来るのだ。




「そんなことさせてたまるか。」




ついムキになって言い返すと、エレナの頬がほんのり赤く染まった。


それを見てラルフがやたらとにやついているので、ジルの機嫌はますます斜めになっていく。




「可愛いなぁ、エレナは。」




この男は、自分には到底言えないようなクサイ台詞もさらりと言ってしまえるので、羨ましいというか、悔しいというか、なんとも煮えきらない気持になる。



そんなことは、死んでも口には出さないけれど。





「見ろ、お前がちょびっと独占欲出しただけでほっぺた赤くしてんのに、俺がいくら口説いてもエレナは照れねぇぞ。」




「ちょっと…よしてくださいよ。」






本気で恥ずかしそうに顔を隠そうとしているエレナの頬を、ラルフがツンツン、つつき出したので流石に耐えきれず、ジルはエレナを自分の方に引き寄せた。





まったく…。