神様の藥箋







再び始めたエレナとの暮らしは、以前とは全く違う感覚で始まった。



彼女がいないあいだに感じていた喪失感は、綺麗さっぱりなくなったのだが、どこか落ち着かない。





前は空気のように、この家に溶け込んでいた彼女の存在が、肌を刺すように強く意識してしまうのだ。




何か変な事をしていないか、無理をさせていないか、事ある毎にちらちらと横目で彼女を観察していたのだが、どんな急な山道を登っていても、ちぎれる様に寒い川で薬草を洗っていても、



嫌な顔一つせず、そつなく淡々とこなしていくのだ。


おかげで、自らの研究や仕事に没頭出来たのはいいが。



食事、洗濯の家事はもちろん、脱ぎ散らかした服は気がつけば洗い清められて箪笥に収まり、

ふと、喉が乾いたので居間に行こうとすれば、後ろの小さな机に水の入った魔法瓶と湯呑がおいてある。



多分、自分の気づいていないところで彼女は先へ先へと考えを巡らせ行動していて。



気がつけば彼の生活はエレナに支配されていると言っても過言ではなかった。