神様の藥箋






返事もせず、ただ自分のことを見つめている彼に、エレナはどう思ったのか、いきなり立ち上がると椅子の真横に跪いて、手を額に当て床にひれ伏した。




彼女のいきなりの行為に頭がついてゆけず、彼はおろおろしてしまって彼女の腕を引っ張った。






「汚いから、やめ…」




「お願いします…!私は薬学を学びたいのです!


先生をお慕いしています!

先生のおそばでこれからも、患者さんや未知の植物に触れていきたいのです!

これからも、先生の近くにいたいです!




だからっ…!




き…嫌いにならないで…!!」




最後はほとんど涙声だった。



彼女の想いにも驚いたが、今まで一切取り乱したり感情的になったのを見たことがなかった。



年頃とは思えない程、静かで大人びていたから。



逆に、少し安心した。


自分の感情をしっかり表している姿に。

体制など気にする余裕がないほど自分の気持ちを、ぶちまけている姿に。





けれど、彼女が泣いているのを見たのは、後にも先にもそれっきりだったのだが。