神様の藥箋





途中から、滑らかになる言葉遣いを耳にしながら、彼女はやはり、貴族の娘だと思った。




「……お父上は、なんと言っていらっしゃる?」





こんな時に、漢であれば、俺について来いなどと言えばいいのだろうが、こんなつまらないことしか言えない自分が情けない。





今までずっと、ひとりで、気にかけるものや、護るべきものなどあった試しのない自分に、彼女の存在は重かった。





まだ、彼女は十八。これからの人生はどうとも生きられるであろう。彼女程の、身分の者ならば。






自分には、彼女の人生を背負う覚悟が、ない。



どう背負えばよいかわからないし、自分の中に巣食うこのあやふやな感情が、恋なのかさえ曖昧なのだから。