「いきなり、押しかけてしまいして…すみません。ご迷惑は重々承知です。」
湯呑を両手に包んだまま、彼女は視線をほんの少し下にさげてぽつりと囁いた。
「いつから、外に?」
そう尋ねると、彼女は唇だけ湯呑につけて、面映ゆそうに微笑んだ。
「慣れぬ道だったものですから、迷ってしまいました…
本当は昨日のお昼前後にたどり着く予定だったのですが、その…
道を誤ったり。
先日は馬車で来たので、生えている植物など見ていなかったものですから、草花を観察していました…
こちらに到着したのは、今日の丑の刻(夜中の二時くらい)だったと思われます。」

