神様の藥箋







台所で、やかんに水を入れ、沸かしているあいだに、暖炉に薪をくべて火をたいた。





太陽の上りきらないこの時間帯は、とくに冷え込みが激しく、家の中でもこうして暖めないと寒くてたまらない。




エレナは羽織ってきた臙脂色のマントを身に纏ったまま、借りた毛布をすっぽり首元まで覆ってがたがた震えていた。





色々と尋ねねばならない事があるけれど、今はとにかく、この娘を一刻も早く温めてやらなければならない。






しゅんしゅんと音をたてて、やかんが沸騰を始めた。




火からおろし、数種類の薬草と乾燥させた生姜、花梨の実を入れた急須に、熱湯を注ぐとぴりっとした生姜の香りとともに、爽やかな芳香が湯気と共に立ち上った。




ゆるゆると数回、急須の中身を揺するようにしてかき混ぜ、大きな湯呑に注ぎ入れた。




薬草などの色が滲みでて、湯呑の中が濃い蜜色の液体で満たされてゆく。





自分の湯呑にも注ぐと、両手にふたつ、それらを持って彼女の元に近寄った。







「随分、長いこと外にいたようだな。



乾燥した風にあたって、喉がいがらっぽいだろう。温まるぞ。」