シュランと言うのは、めまい、貧血、不整脈に効果のある薬草で、生葉を口にすればそのまま症状を緩和し、煎じれば心臓病にも効能のある薬となる。
特に雪結晶のように愛らしい白い花は、葉より強い効果が期待できるので、花の咲くこの時期になると医術師達は山へ摘みにゆくのだ。
ただ、開花時間が非常に短く、夜明け後の数時間しか咲かない。
太陽に当たると、あっという間に花も落ちてしまう。
そうなると、病に効く成分が抜けてしまうので使い物にならない。
なので、シュランの花を摘みに行く時は必ずまだ薄暗い時間帯から、明けの明星が太陽に呑まれてしまうまでの間でないといけないのだ。
どこにでも群生しているわけではないようで、エレナが初めて、この雪の妖精のような花を見た時は、幼子のように喜んでいたのだが。

