神様の藥箋





まだ、朝靄の漂う早朝。


まどろみの中で、静かに戸を叩く音が聞こえた。


こんな朝早くに、高い身分の者が来る事はない。

ということは、村人の誰かで、子供が熱を出しただとか、おばあちゃんがぎっくり腰になったとか、日常のよくある些細な依頼に違いない。



もっと切羽詰った急患なら、こんな優雅に戸を叩いてる余裕など無いはずだ。





ということは、今すぐ行かずとも問題ない。


診察が必要であれば、また時間をおいて来るだろうという怠惰な考えの元、再び彼は布団にくるまった。







……それにしては、少々粘り過ぎではないか。





五分程時間を空けて、三、四回戸を叩き、また五分程時間を置いては戸を叩く。




流石にこれでは安眠が妨げられる。