親の転勤で田舎から大都会に越してきた。
田舎には田んぼのほうが多かったのに
ここ(大都会)には田んぼはない。
あるのはアスファルトやコンクリート。
カエルの鳴き声のかわりに
車のエンジン音やクラクション。
やっぱり別世界。
こんな都会であたし生きてけるの?
窓ガラスに頭を持たせかけると目を閉じた。
いつの間にか眠っていたのか
誰かがあたしを起こす声が聞こえる。
眠気で重いまぶたを開いた。
「おい、そこ誰の席か知ってるのかよ」
目の前には高校生の男子。
体も細いが顔も細い。
そして小さな細い目があたしを睨んでいた。