てっきりバス停まで歩くものだと思ってた。
でも校門の前に待つ黒塗りの車。

運転手さんがうやうやしく扉を開ける。


ハイヤー???


光太郎の顔を見ると、顎で「入れ」と示す。
そんな、ハイヤーになんか乗れない身分だってば。

あたしは両手をノーというように横に振る。


むっとした光太郎はあたしの腕を掴み
(何で4いつも掴む~涙)


車の中へと押し込んむ。

音もなく車は発進した。



応接間かと思うくらい広い車ん中。
窓の外を見ている光太郎。
思わず美しい横顔に見とれてしまう。

あっ、こんな事ではダメだ。
肝心な話をしないと・・・。



「あのお話が・・・」

「なんだ?」

「あたしとあなたとの交際ですけど
なんで、付き合ってることになってるんですか?」


「なんで?俺が決めたから」


「だからぁ、今日出会ったばかりじゃないですか?
なのに、いきなり付き合うって。
それに朝はバスだったのに
帰りはこんな車で。
あたしには理解できない世界です」


「そしたら何回会えばいいんだ?
50回か、100回か?
回数なんて関係ないだろ。
その気になった時でいいじゃないか。
それに今朝はこの車が壊れて急遽バスだった。
朝から災難だと思ったが、お前と会えたから良かったよ」


正論のような、でもおかしい。
ひと目惚れはドラマの話だよぉ。
それにあたしの気持ちは?
それにあなたの気持ちは?
よくわからないまま付き合うなんて

あたしにゃできないよぉ。