『……部屋、戻るか?』
部屋?
あ、総長部屋のことかな?
『トラップ解除されてるよね?』
さっきの出来事を思い出して、眉間にしわを寄せた私に頷いてみせた類に、席を立つ。
『私、もう寝るから』
『……俺も』
私に続いて立ち上がった類を、将と夏が不思議そうに見つめる中、双子だけ私を見て口を尖らせる。
『陽、零。どうかした?』
私の言葉に、さらに口を尖らせた2人は、顔を見合わせて大きく頷きあう。
『『杏ちゃん、自己紹介忘れてるから‼︎』』
完璧にかぶったセリフに、一瞬固まった後、さっきまで何をやっていたのかを思い出す。
…確かに、夏と将と陽、零は自己紹介したけど、私はしてないよね。
まぁ、それを言っちゃうと、類も自己紹介してないんだけど。
『類もだよ!』
『そう! 杏ちゃん独り占めするのもダメ‼︎』
陽の言葉に便乗してそう叫んだ零に、一瞬めを細めた類が、私の手を引いてまた座り直した。
…ああ、うん。
これはもう、強制で自己紹介しろってことですよね。
『中宮杏。花のJK満喫しようと思っております。
家はまぁ、中宮組…そのまま継ぐつもり‼︎
…こんなもんでいいよね?』


