『お父さん?』
『どうした、杏』
未だに飲んで完全に出来上がっているお父さんのそばまで、止まらずにズンズン突き進んでいく。
今、誰に止められようとも止まらない自信があるよ?
そりゃあ、命の危機に面した訳だし、それくらい怒ってても良いでしょ?
『あの部屋のトラップ、お父さんがつけたの?』
『総長部屋のことか?』
私の言葉にそう返してきたお父さんに頷いて、ギロッと効果音がつきそうなほど鋭く睨みつける。
『私、お父さんのせいで死にそうだったの!』
『ほー…杏はあの部屋に入ったのかー』
イラつきながら抗議した私に気づいていないのかなんなのか。
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、そう呟いて酒を仰ぐお父さんをみて、こめかみがピクリと動くのを感じる。
『お父さん』
『なんだ?』
『いっぺんあの世に逝ってこい‼︎』
飲み干した酒のコップをお父さんが机に置いたのを見計らって、綺麗に脇腹に蹴りを入れて壁側にぶっとばす。
もう良いよ。
お父さんなんて、逝ってしまえばいいとおもいます!


