「先ほどもいいましたが、あなたから名乗っては?」 人形さんは口角を少しだけ上げながら言った。 「…………珍しい奴。 俺は、一ノ瀬類。」 一ノ瀬類、か。 「私は中宮杏です。」 「…………中宮杏、か… いい名前だな。」 そう言いながら一ノ瀬類は少しだけ微笑んだ。 「ッ!? ……………る、るっちゃん。理事長室いくんだよね! え、とそれじゃあまた会えたらッ!」 そう言い残し、るっちゃんを引っ張って理事長室に向かった。 …………………赤くなった顔を隠して。