『杏』
呼ばれて後ろを振り返ると、お父さんがお酒を片手に笑っていた。
……なんか、たくらんでる…⁇
ダメな笑みだ、これ!
『……お、お父さん、私呼ばれてるから!』
そういって逃げようとした私の腕を掴み、お父さんはお酒を差し出す。
まだ、蓋の空いてないビール。
『お前も飲めよ、これ、好きだろ?』
……未成年に酒を進めないでよ、お父さん…!
『まぁ、好きだけど……』
『だろ? せっかく持ってきたんだから、お前もこっちに来いよ』
お父さんから渡されたビールを片手に、そのままついていく。
『お! やっと来たか!』
そこには、さっき飲み比べしに行ったるっちゃんと将。
お母さんと春とキョーせん。
後、類と夏と双子。
……あれ?
そういや、私、双子の名前わかんないや。


