柄にもなく、類のその笑みに見惚れてしまった。
『杏…? 何か顔についてるか?』
『えっ、いや、ううん!』
じっと類を見つめる私を不思議に思ったのか、首を傾けてそう言った類に慌てて頭を横にふる。
頭を振って、流れで類から目をそらす。
今類の顔なんて見たら、なんか変なこと言っちゃいそうな気がする。
それこそ、口にして仕舞えば今の関係が崩れそうなことを。
『杏、手貸せ』
『ちょっ、類?』
私が苺のクレープを食べ終わったのを見計らっていたのか、自分の左手で私の右手の指を絡め取った類に、上擦った声が漏れる。
『ん…?』
そんな私をみて楽しむかのように、指を絡め取った手を私に見せつけて類が目を細めた。
……っ、こんなの、耐えられる訳がない。
顔が赤くなるのが抑えきれない。
『杏、顔真っ赤』
『なっ、だ、誰のせいだとっ⁉︎』


