むすっと頬を膨らませて類から顔を逸らす。
良いですよ。別に。
苺クレープの美味しさは私1人で味わうつもりだったしね。
1人でブツブツと呟くのをやめて、苺クレープを一口頬張る。
『ん〜っ! 甘くて美味しい…っ!』
頬張った瞬間に口の中に生クリームの甘さと苺の酸っぱさが広がる。
苺が冷えてて冷たくて美味しい。
苺のアイスと生クリームが何とも言えないコンビネーション。
思わず拗ねている事も忘れて苺のクレープを頬張る。
『……杏、一口』
『おっ、やっぱり類も食べたかったんだね?
良いよー』
何も考えずに類の口元へと苺のクレープを持っていく。
そんな私に、一瞬驚いたように固まった類は、何事も無かったかのようにクレープを一口頬張った。
『どう? 美味しいよね?』
類が飲み込んだのを確認して、そう聞きながら顔を覗き込む。
そんな私を見た類は、ふっと、さっきクレープの店で見せたようにまた口角を上げた。
いつもの笑みとはどこか違う。
今日の類の笑みは、いつもより何倍も甘いように感じるんだ。
それこそ、苺のクレープよりも。
何故かわからないけど、そんな雰囲気を類が醸し出してる。
元から心臓50個あっても足りないなんて思っていたけど、こんな笑み見せられたら、とても50個では足りない。


