『杏ちゃん、将はー?』
ぎゅーっと背中から抱きつきながら聞いてきた零を引き剥がして、苦笑いを浮かべる。
将…ね。
うん、君の勇姿は忘れないよ。
私の反応で理解したのか、零は同じように苦笑いを浮かべた。
『将ってなんであんなに夏に怒られるのに学習しないんだろ〜?』
『馬鹿だから仕方ないんだよー、きっと‼︎』
零がボソッと漏らした言葉に、すかさず、ニッコリと笑みを備え付けて返す。
別に将に聞こえてないから良いかなってね?
まぁ、聞こえてても良いけど。
『杏ちゃんって、将にだけ態度が違うよね?』
『……陽? 将にわざわざ陽達と同じ扱いするわけないでしょ?
私に弄られる為に存在してるんだよ、将はっ‼︎』
ニヤリと口角を上げて笑う。
『確かにそうだね‼︎』
私と同じように笑って…いや、私より黒い笑みを浮かべて言った陽。
おおう…陽さん。腹黒ですか。
その顔で?


