『杏ちゃん、災難だったねー』


『見てたなら助けてくれたら良かったのに…』


話しかけてきた陽にそう言うと、困ったように眉を下げた陽が、零の方を指す。



…零……誰かに絡まれてる?


…って、アレって!



『雷火の総長…⁉︎ なんで零が絡まれてるの?』



『雷火の奴ら、僕らを片っ端から誘って、麗華と雷火を合体しようとしてるみたい』


意味わかんないよね。と言ってため息をついた陽を見ると、さっきまで陽も絡まれていた事を知る。


うわ…何企んでるんだろ?



取り敢えず、雷火と麗華の仲は悪くないって聞いてたけど。


あれ…?

確か、雷火の総長さん、個人的に類に恨みがある的なこと言ってたような…?


あ、そうそう。類がね、私が雷火の総長を海里って呼んだら怒ったんだよね。
怒ったっていうか、不機嫌になったっていうか。

だから、一応雷火の総長さんと呼ばせてもらっております。



『杏ちゃんも気をつけてね?

絶対! あいつらにはついていかないこと!』




『うん、分かった。

教えてくれてありがとね、陽』




よく分からないけど、類のことよく思ってないなら何か企んでるってことだよね?

…意味わかんない。



まぁ、考えてても仕方ないしね!