そんな類をものともせず、何方かと言えば楽しそうな海里の声色が聞こえた。



『じゃあな、オヒメサマ』



あ、うん。

じゃあなとか言われてますが、私の目の前に見えるのは類の制服だけでして。


あなたが手を振ってるのは想像できますが、見ることはできません。



ついでに付け加えると、何故か類の力が強くなったし。



これ、あれだね。

そろそろ酸欠でぽっくりあの世に逝っちゃうパターンのやつ。



ほらもう、酸欠で頭がクラクラ……するわけないか。




『類、ちょい苦しいから離して?』



『ああ……すまない』



私の言葉に返した類は、何となく、今気づいた感じの声色だった。



まって、それって私を抱きしめながら忘れてたって事だよね?


どんな技だよ、人を抱きしめながらそのことを忘れてるとか!


あなた、もはや地球の生物じゃないですよね、類さん!



そうじゃなきゃ、類の色気と天然タラシの理由の説明がつかない。




『馬鹿女。
変な妄想してんなよ?』




なぜ私の考えていたことが読めたのか…と将を見た瞬間。


視界に、将を含めたみんなの呆れた顔が映り込んできた。



わかったよ、私。
これ、あれでしょう?


『……声出てた?』




『バッチリ聞こえてたよ』



私の疑問に笑顔で答えてくれた夏に感謝…する訳さじゃないけど。


取り敢えず、疑問解決。
そしてやっぱり、私正解だったね。