「あ――」 「あの、オススメってありますか?」 私の言葉を遮って、紗和ちゃんが彼に声を掛ける。 「それなら――」 テーブルの上に広げたB5サイズの手作りメニューの一つを指さして “コレ”とウィンク。 「そ、それ二つお願いします」 間髪入れずに、注文する紗和ちゃん。 って、ちょっと待って。 私の注文、勝手に……ま、いっか。 オススメだし、きっと美味しいよね。 「了解。ちょっと、待っててね」 慣れた手付きでオーダーを紙に書き、奥に姿を消した。