「お前、やっぱ苦手なんじゃないか。さっきの事は悪かった。謝るから、雷が去るまでここに居ろ。それがダメなら港まで送らせろ。もうすぐ雨も降るだろうし、今のお前一人に出来ない」
「湊叶、さん……」
お、目が合った。
その目には、涙が浮かんでいて今にも零れ落ちそうだった。
ピカッ、ガラガラガラ……ドドドンッ!!!
空が光った瞬間、凄まじい音と共に地響きが届く。
それと同時に、俺の胸に抱き付いてくる小さな体。
思わず後ろに仰け反り尻餅をついた。
小さな体は、まだ震えていて暫くは治まりそうにない。
どんより暗くなっている空は、ポツポツと雨を落とし始める。
さっきの雷、結構近かったな。
停電とかになっていなければいいけど。
「瀬戸。とにかく、店の中に入ろう?ココじゃ、雨に濡れる」
俺に掴まったまま、小さく頷いたのを確認して
ゆっくり彼女の体を支えながら立ち上がった。

