大口で頬張っていく、瀬戸とは全然違う。

まぁ、瀬戸は瀬戸で俺の料理を美味そうに食ってくれるから

まるでハムスターみたいで可愛いんだけど

彼女に比べると、やっぱり幼いな。


絢は、年齢に囚われない可愛さがある。

彼女はこう見えて、俺より二歳年上。

つまり、今年で30歳になるはずだ。

なのに見た目は、どうみても20代前半。


あの頃と変わらないように見える絢。

だけど、内面はどうだろう。

俺が彼女を傷つけた事実は、消すことなんて出来ない。

恨んでいるはずの俺に、わざわざこんな田舎まで会いに来た理由。

いくら考えても分からない――。



「ご馳走様でした」



両手を目の前で合わせて、目を閉じる。

この仕草も、昔と変わらない。

彼女は、いつもどんな時でも「いただきます」と「ごちそうさま」は必ず言葉にする。