「そ、蒼汰さん。何を急に……」
「気になるんだ」
私の反応を楽しんでいるのか、クスクス喉を鳴らして笑う。
蒼汰さんって、時々いたずらっ子って言うか
意地悪な事をいう時があるよね。
絶対子供の頃、好きな子をイジめてたと思う。
「気にならない……と言ったら、嘘になります。“彼女”にしては、湊叶さん嬉しそうじゃなかったし」
視線を落として、足元の砂をじっと見つめる。
「アイツさ、高校の時いきなり美容師になるって卒業と同時にこの島を離れたんだ」
美容師……
そういえば湊叶さん、手先器用だし美容師だって向いてるかもしれない。
だけどそんな話、初めて聞いた。
高校生で、もう将来の職業を決めてたんだ。
私はまだ何も決めてないのに――凄いな。

